AI Policy2026-09-26
MIT Technology Review
米国防総省、AI嘘発見器に3030万ドル要求
米国防総省が、人工知能と機械学習を活用したより高度な嘘発見器の開発に向けて、5年間で3030万ドルを要求していることが明らかになりました。プログラムは「Polygraph+」または「Polygraph Next」と呼ばれ、生理データと行動データを分析して欺瞞(嘘)を検出するスコアリングアルゴリズムの研究開発が中心となります。この要求は国防総省の予算文書に記載されており、自動化された尋問ツールに対する政府の関心の高まりを示しています。
支持する立場からは、AIによってポリグラフ(嘘発見器)型の検査がより正確に、安定して、効率的になるという期待があります。人間の検査官には主観が入りやすく、従来のポリグラフは信頼性の低さが長年指摘されてきました。機械学習を使えば、声や脈拍、呼吸、皮膚反応などの信号に潜む微妙なパターンを捉えられる可能性があります。
一方、批判派は深刻な問題を指摘します。嘘の検出は技術的に難しく、AIシステムは訓練データからバイアスを引き継いだり、自信満々に誤検知(偽陽性)を出したりしかねません。国家安全保障や犯罪捜査の場で誤った結果が出れば、深刻な事態を招きかねません。プライバシー擁護派は、こうしたシステムがどう使われるのか、どんなデータを集めるのか、対象者が結論に異議を申し立てられるのかを懸念しています。
プログラム名からすると、既存のポリグラフ手法を置き換えるというよりアップグレードする位置づけのようですが、AI支援のスコアリングツールであっても、尋問の進め方や誰を信頼するかの判断に影響を与える可能性があります。議論の本質は「AIが嘘を見抜けるか」だけではありません。政府が重要な局面で真実性を判断するのに、ブラックボックス的なシステムに頼るべきかどうかという問題です。国防総省が技術開発を進める中で、議員や国民からは透明性、独立した検証、配備に関する明確な制限を求める声が強まるかもしれません。この結果は、法執行、諜報、防衛の現場でAIがどう使われるかを左右する重要な前例になり得ます。